こんにちは。昨今の入試改革や難易度の上昇により、浪人生の数が減少していますが、そんな中でも浪人を決意した受験生向けに、志望校合格のために重要な”環境選び”つまり塾・予備校選びに関してお話していきたいと思います。というわけで今回は『浪人生におススメの塾・予備校選び』というテーマでお話を進めていきます。
というのも浪人を選択しても上手く勉強に取り組めず、成績もなかなか上がらず、というよりもむしろ現役時よりも成績も落ち、翌年も同じ大学に不合格になる浪人生が無数に存在していることを考慮すると、将来の可能性を拡げるとは言え、浪人をする上でその「環境選び」つまり塾・予備校選びは非常に重要になってくるからです。
なぜなら大学受験と一口に言っても、東大や京大、早稲田、慶應、GMARCHなど志望校によって塾・予備校ごとの得意分野や得意領域も異なるため、受験生が志望校にあわせて選ぶ最適な環境は異なりますし、現状の自身の学力の状況によっても異なります。また環境自体も河合塾や駿台予備校といった大手予備校から中堅予備校、個別指導塾、自学自習など、塾や予備校側の授業形式やシステム、サポート体制も様々です。
また浪人生は現役生と違ってペースメーカーとなる学校がない分、塾・予備校という環境選び自体が志望校合格を左右するといっても過言ではありません。では受験生が、特に今回は浪人生が志望校合格のために、自分自身に最適な塾・予備校を選ぶにはどのようなPOINTで塾・予備校を検討すればよいのでしょうか。浪人生が志望校合格のために悔いのない浪人生活を送るために、どのようなPOINTで自分自身に合った環境を選んでいけば良いか、詳しくお話していきたいと思います。
◇浪人生の塾・予備校選びのおススメチェックPOINT
- ①午前中から開室しているか
- ②出欠確認システムの有無
- ③授業内容は自分自身の学力に合っているか
- ④そもそも授業は必要かどうか
- ⑤定期面談があるか
①午前中から開室しているか
これは意外かもしれませんが、浪人生が志望校合格を掴む上で非常に重要なポイントであることは間違いありません。なぜ塾・予備校が午前中から開室しているかどうかが重要かというと、生活リズムや学習習慣という確固たるルーチンを確立する必要があるからです。なぜなら生活リズムが乱れれば、健康維持も困難になり、勉強どころではなくなりますよね。また学習習慣も重要で、実際の入試本番は大抵の場合、午前中から開始のため、間違いなく朝一からから学習を始め、規則正しい学習習慣を構築する必要があるからです。
にもかかわらず、塾・予備校が午前中から空いていない場合は、自宅か塾・予備校以外の場所で学習習慣を構築する必要があります。ただでさえ安くない塾・予備校代を支払っているのに、午前中が有効活用できないのであれば、それは費用対効果の面でも非常に非効率になります。そもそも出午前中から自習室すら開室していないとなると、見方を変えれば、そのような塾・予備校は浪人生に対してのサポート体制が手厚くない塾・予備校とも言えます。
以上のことからも、浪人生のために朝一から授業コマがあるか、もしくは自習室が解放されているかどうか、は浪人生が失敗しない塾・予備校選びで非常に重要なポイントになってくるでしょう。
②出欠確認システムの有無
2つ目の重要なポイントは『出欠確認システムの有無』です。これは1つ目の『午前中から開室しているか』と被る部分がありますが、浪人生で重要なのは「毎朝同じ時間に起きて同じ場所に行って勉強をする」という当たり前の生活リズムや学習習慣、つまり確固たるルーチンを構築することです。高校に通っている際は「毎朝同じ時間に起きて同じ場所に行って勉強をする」というルーチンが、卒業という条件と引き換えに強制力を伴っていました。しかし、卒業と同時にその強制力はなくなります。
自分自身で『高校の有無に関係なく自分は確固たるルーチンが既に構築されている!』と自信を持って言える方以外は、基本的に生活リズムや学習習慣を構築してくれるサポートやシステムが塾・予備校にあるかどうかは重要なチェックPOINTです。得てして人は低きに流れる生き物ですので、強制力が無い中で自身を律し続ける事が出来るかは重要ですし、そこにエネルギーを注ぐよりも成績を上げる本質的な部分にエネルギーを割くべきです。
では塾・予備校にどんなシステムがあれば、浪人生でも強制力を得ることができるのか。その最たる例が『出欠確認システムの有無』になります。意外とこうした当たり前に見えることを自分を律して自力でかつ、10か月間もの間やり抜くのは相当難易度が高いことです。
厳しい言い方に聞こえますが、こうした生活リズムや学習習慣といった確固たるルーチンが構築できていれば、そもそも浪人はしていないでしょうから、人の3倍やる気があって毎日10時間以上自ら追い込むことが出来る勉強習慣があり、現役時にGMARCH程度は合格している上で浪人して東大や京大のような最難関国公立や早慶上智のような最難関私立を目指す人は別ですが、それ以外の方はこうしたサポートがシステムとして塾・予備校に担保されているかどうかは確認しておきましょう。
③授業内容は自分自身の学力に合っているか
3点目は『授業内容は自分自身の学力に合っているか』です。前提として志望校や現時点の学力によりますが、一般的に考えて”浪人生”という時点で現役の時に基礎的な内容が疎かな状態だったからこそ、合格できずに浪人しているはずです。先ほど『現役時にGMARCH程度は合格している上で』と表現しましたが、なぜGMARCHがある程度、基準となってくるかというと国公立を目指している人でも、私立だとしても基礎力を測る上でGMARCHという指標は分かりやすい一つの基準でもあるからです。
どういうことか具体的に説明していきます。GMARCHは大学や学部によって多少の違いはありますが、出題される問題構成の7-9割は基礎問題でかつ合格最低点は6-7割に設定されているからです。つまり国公立志望の方でも、併願でGMARCHを受けることもあるでしょうから、その状態で現役時にGMARCH程度の合格が勝ち取れていないということは、得意3科目ですら7割程度に到達していないということです。
実際に現役で東大や京大などの最難関国公立や早慶上智のような最難関私立に合格する受験生は高校1.2年生で少なくとも基礎範囲は満遍なく全て終わっていて、残り1年で基礎力が低下しないように反復学習しながら、2次対策や個別試験の応用力を高めていくというのが、大学受験においては一般的です。つまり高校2年生終了時点でGMARCHには十分合格できる状態、つまり基礎が固まっている状態にはなっているわけです。
こうした基礎学力のある受験生、つまり現役でGMARCH程度は合格出来ている受験生が残り1年間で更なる高みを目指して大手予備校や医学部専門塾のような、専門的で難しい内容の過去問対策講座や応用問題演習講座などを受ける分には、授業内容が自分自身の学力に合っていると言えるでしょう。一方でGMARCHの合格が現役時に勝ち取れていない、つまり基礎学力が固まり切っていない受験生が、同じようなハイレベルの授業内容の講座を受講したとしても、学力は向上しませんし、志望校合格に向けて最短ルートとは言えません。
逆に現役時にGMARCHに合格できるだけ基礎学力がある受験生が、浪人して更に1年間勉強する上で授業内容が基礎の基礎からやるような塾や予備校に通うのも志望校合格に向けて最適な環境かどうかは一考すべきでしょう。こうした観点で志望校合格から逆算して、自身の現状の学力と授業内容があっているかどうかは、志望校合格に向けて最適な環境選びとして重要なPOINTといえるでしょう。
④そもそも授業は必要かどうか
先ほどの3点目の『授業内容は自分自身の学力に合っているか』の派生にもなりますが、4点目は『そもそも授業は必要かどうか』です。先ほどの3点目の内容でもお話しした通り、志望校や現時点の学力によって状況は様々ですが、ある程度基礎学力があり、難易度の高い参考書含めて自力で消化できるのであれば授業は必要ないでしょう。
基礎学力がない状態、つまり参考書の解説で内容理解ができなかったり、参考書の解説のみだと理解が不十分で授業を受けるか、質問や相談をしたいという学生が授業がない状態で自力で受験勉強を進めていくと間違いなく成績は上がりませんし、志望校合格を勝ち取るのは至難の業になるからです。一般的に宅浪での難関大学の合格が割合として圧倒的に低いのはこうした背景があります。
もちろん基礎学力がなくても、志望校が一般的にみて難易度の高い大学ではなく、例えば地方の3科目で受験できるような公立大学や私立大学の中でも早慶上智やGMARCHのような難関大学ではなく、大東亜帝国やそれに準拠する4年制大学を目指すのであれば、授業がない状態で、非常に基礎的な内容の参考書のみを自力で進める形式でも十分成績は上がる可能性はありますし、合格が掴める可能性はあるかと思います。
このように自身の志望校と現時点の学力によっては授業が必要ないと言える受験生も一定数居ることは間違ってはいませんので、志望校と現状の自身の学力のバランスで授業の有無に関して検討出来ていれば問題はないでしょう。
⑤定期的な面談や相談の場が必要かどうか
そして最後、5つ目に重要なPOINTは『定期的な面談や相談の場が必要かどうか』も志望校合格に向けた最適な環境、自分自身に合った塾・予備校選びにおいて非常に重要です。というのも受験生、特に浪人生は10カ月の浪人生活を通して志望校合格に向けて、実は思わぬタイミングで精神的にダメージを受けることがあるからです。
例えば、高校の友人や地元の友人からのGWや夏場、年末年始のタイミングでの遊びの誘いもその一つです。こうした誘惑に左右されずに、1年間勉強だけに打ち込む浪人生活に徹するのは想像以上にハードです。もちろん、ONOFFの切り替えが自力で出来て、友人との遊びのリフレッシュをしつつ、勉強にストイックに打ち込むことが出来る自律出来ている人はこうした定期的な面談や相談は不要かもしれません。
そうではなく自身を律することが出来ず、必要以上に誘惑に惑わされて生活リズムや学習習慣を乱してしまったり、大学に進学した友人の近況を見ての虚無感に襲われモチベーションを下げてしまったり、こうした時に自力でモチベーション回復が出来ない受験生にとって自身を理解して寄り添い、正しい道を一緒に考えてくれる存在は意外と大きなものです。
また単純なメンタル面のサポートだけでなく、浪人生にとって自分の勉強が正しいかどうかは常に不安になる要素でもあります。例えば模試の結果が振るわなかった際に自力でモチベーションを立て直せるか。そもそも模試の結果を鑑みての志望号合格に向けての学習計画の立案や修正を自力で出来るかは浪人生活を成功させる上で非常に重要なPOINTになってきます。このような時に定期的な面談で自習計画の最適化を一緒に図ってくれる存在も浪人生にとっては非常に重要な存在になります。
ほかにも学習内容の相談や質問、参考書の解説が分からない時に質問がしたいかどうかも定期的な面談が必要かどうか判断する上で重要な要素です。高校生活をイメージすれば分かりやすいですが、高校だと1クラス30-40人というのがほとんどでしょうから、現役時から授業中や授業後に生徒をかき分けて先生にガンガン相談や質問が出来る生徒は定期的な面談や質問の場がない塾・予備校でも問題はないでしょう。
自発的にそこまでガンガン相談や質問が出来るタイプでない場合は、定期的な面談や質問の場があるかは非常に重要です。それこそ個別指導などの形式で計画立案や学習に関する相談や質問をマンツーマン指導してくれる環境が必要になってくるでしょう。こうしたモチベーションの視点での悩みを自力で解決できるかどうか、学習計画や修正などの学習にまつわる相談や質問が必要かどうか、この視点で考え、塾・予備校を選ぶ際のPOINTで『定期的な面談や相談の場が必要かどうか』は考えておいて損はしないでしょう。
まとめ
というわけで今回『浪人生におススメの塾・予備校選び』というテーマで記事を書いてきましたが、基本的には上記5つのチェックポイントを参考に、各項目が自分自身にとって必要かどうかを検討し、その上で必要な場合はそのサポートが塾・予備校で満遍なく受けられるかどうかを、複数の塾・予備校の実際の説明会や体験授業に参加して吟味するようにしましょう。